市原悦子さん
ファンでした。
憧れの女優さんでした。
同じ千葉県出身ということもあり、親しみを感じていました。
中学・高校と演劇に打ち込んでいる頃、テレビドラマが好きな私は様々な俳優さんの演技に触れていましたが、市原悦子さんの独特の存在感、市原さんにしか出せない雰囲気に惹かれたのです。
特に「おばさんデカ 桜乙女の事件帖」シリーズが大好きで、“桜乙女”という役名さながら乙女の部分が可愛くて、とてもチャーミングでした。
クスッと笑えるドラマだったんですけど、今思えば狙った笑いじゃなくて、存在そのものから滲み出る面白みというのか、一生懸命さがおかしかったというか…やっぱり回顧してみても市原悦子さんにしか出せない味わいだったと思うのです。
“桜乙女”という役柄への親しみと、大変失礼ながら容姿端麗ではない所に近いものを感じ、いつしか「こういう女優さんになりたい」と思うようになりました。
今思えば身の程知らずで、もっと早く気づくべきだったんですけど、実際お会いした時にそれは無理だと分かりました。
まだ実家に住んでいた頃、千葉そごうで市原悦子さんのサイン会があると聞きつけ、母と共に出かけて行ったのです。
人数制限があったので朝から並んで、開店と同時に走っていきエスカレーターを猛ダッシュした…そんな記憶が残っています。
(少々危険な行為ですが…すみません^^;)
冒頭の写真、市原さんのエッセイ「ひとりごと」(初版)の出版記念だったかと思うのですが、サイン会と共に写真展(?)もあったような気がします。
(記憶がおぼろげで誤りがあるかもしれません…ご了承ください)
初版が2001年なので、私は“舞台芸術学院“という専門学校の学生だったのですが、一応、真面目に女優を目指していた頃だと思うのです。(多分)
実はサイン会の記憶が残っていないのですが…そのサイン会の前か後かに、写真展で御自身の写真をご覧になっている市原悦子さんに遭遇しました。
(いや、狙った可能性もある笑)
写真を見ながら歩かれていたのですが、その佇まいに圧倒されてしまいました。
気品があって上品でとても美しかった。自分とは全然違うと一瞬で分かったような、そんな感覚に陥りました。
そのオーラに当然話しかけるなんてできるわけもなく、ただただ眺めていたのですが…
うちの母親ですよ、、、話しかけにいきましてね。
私を呼び寄せ…
「この子も女優を目指してるんです」
(あ〜〜!?
何言ってくれとんねん!!!)
心の中でめちゃくちゃ叫びました。
もう恥ずかしくてね。
女優に憧れる私に対して普段は反対意見の母が、まぁこういう時はこうなっちゃうんですよね(笑)
話を戻しますが、
この後のことはよく覚えてなくて、市原さんは「がんばってね」とか言ってくださったような気がします。
私にとって市原悦子さんはその時の印象が一番強いです。
芯の強い方。
私はフラフラしっぱなしですけど、市原さんは自分が思うことを貫き通されていた印象があります。
ここまで書いてみて、改めてこのエッセイを読んでみようと思いました。
当時は19歳だったので、今読むとまた違うことを思うだろうし、年齢も近くなった分、もっと感じたり解ることがあるかもしれない。
最後に。
訃報を受けて
すぐに悲しいという感情は生まれなかったんですけど
徐々に湧き出るものがあって
ペンをとりました
市原悦子さん。
今まで数々の作品で楽しませてくださり、どうもありがとうございました。
私は貴女のことを忘れません。
天国でも、いつまでも少女のように輝いていてください。
2019年1月18日
弓削麻美子
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